One Step Ahead

プログラミングやエンジニアリング全般について書いていきます

キャリアに考える戦略と戦術と戦闘。

はじめに


『戦略による過ちは戦術により補い難く、 戦術による過ちは戦闘により補い難し』

この言葉は、組織運営や経営において使われることの多い言葉ですが、エンジニアとしてのキャリアを考える上でも非常に良い言葉だなと思っています。

昨年、数名の新人さんが退職していきましたが、いずれも異業種からの転職者の方でした。 入職当初、不安と期待が入り混じった表情していたことを思い出すと、何とも言葉にし難いものがあります。

そして、退職時に話していて私の頭に浮かんだ言葉がこの言葉でした。
簡単に言えば,,,

『戦略を間違えばどんなによい戦術を選んでも勝利を掴むことができず、戦術を間違えばどんなに良い戦いをしたとしても勝つのは難しい。』

といった意味です。
今日はこのテーマを元に、退職された方に伝えたかったことについて考えていきたいと思います。

戦略、戦術、戦闘とは?


まずは、言葉の整理です。 いずれも『戦い』という言葉がキーワードになります。
この3つを扱うのは『戦いに勝利する』するためです。
このままでも現代の事柄に当てはめることができると思いますが、より簡単に言えば,,, 『戦いに勝利する』ということは『目的を達成する。』ことだと思っています。

この前提を踏まえた上で、戦略、戦術、戦闘を考えていきます。

一般的には特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術や応用化学
wikipedia ~戦略~

このままだと分かりにくいので、簡単にまとめると,,, 現状に起点を置き、目的を達成するための『期間』と『資源』をどう使っていくのかという『方針』を考えること。 だと私は思っています。

作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術である。そこから派生して言葉としては競技や経済・経営、討論・交渉などの競争における戦い方をも意味するようになる。
wikipedia ~戦術~

これも簡潔にまとめると,,,
戦略に基づく、目的達成のための具体的な手段と方法になります。

戦闘とは、相互に敵対する二つの勢力による暴力の相互作用である。
wikipedia ~戦闘~

言い換えると、戦略に基づいた戦術を実際の『行動』として行うこと。 実際の行動が『戦闘』にあたります。

『現状』を顧みない『戦術』


退職された方に限らず、新人や2年目の方と話していても感じることですが、戦術の基本である『現状を起点とする。』という部分が抜け落ちているように感じます。 『現状を起点とする』という言葉をより具体的にすると、今自分が持っているもの、持っていないものを見極めることだと思っています。

特に『自分が持っているもの』に対する見極めがほぼ出来ていないと感じました。 持っていないものは非常に目につきやすいものです。

『AWSやクラウドの当たり前なのにその知識がない。』
『マイクロサービスアーキテクチャに関する知見がない。』
『DeNAやメルカリみたいな大規模サービスの経験がない。』

情報収集にTwitterなどのSNSを活用する人であれば、有名なエンジニアと自分を比較してしまい、より足りないものばかりが目に付くのかなと思います。 足りないものを追いかけて、SNS上の断片的な情報から神様のようなエンジニアの虚像を作っている人が非常に多いなと感じました。

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そして、いつの間にか神様の虚像に追いつくことが、その人の目標になってしまっている方もいました。

自分に足りないものを見つけ、それを真摯に改善していこうとする姿勢は素晴らしいものですが、時間は限られています。 健康や年齢、能力だって人それぞれ違います。『戦略』や『戦術』のすべてを足りないものを得るために使うのは非常に勿体ない。

自分にあるリソースを使って、その中でどういった『戦略』『戦術』が使えるのかということも一緒に考えてもらえればなぁと思います。

一人歩きする『戦術』と『戦闘』


そして、もう一つ感じたのは、『戦術』と『戦闘』の一人歩きです。 『戦術』と『戦闘』を考えて、行動するまではできていますが、フィードバックがない人が多いように感じました。

実行することが目的になってしまい、断片的な善し悪ししか見ていない人が多いと感じます。 『戦闘』の善し悪しを評価するためには、『戦術』が。『戦術』の善し悪しを評価するためには、『戦略』が重要になります。 どこかを部分的にみて善し悪しを判断すると、その部分にだけ良いアクションをとることが目的になってしまうとことが多いと私は思っています。

さいごに


業務をしていると、なかなかこういったことのディスカッションをする機会が持てていないのが現状なので、先行くものとして反省が必要だなと思っています。
『退職していった。』という事実を他人事としてとらえず、一緒に悩めるにようにしていきたい。